プロが「医者から踊るのを休むように」言われたら…

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先日、現役の某劇団●季のダンサーさんが来院されました。

膝が痛くなったとのことで病院で検査を受けたら軟骨の異常が見つかったというもの。

タンデュをする時に痛みが出るということで、ちょっとこのままでは踊れなさそうという状況です。

5番に立ってもターンアウトはしにくい。

正座はスムーズにできなくなっていて、だましだまし曲げて何とか途中までは行ける。

それなのに、振りの中に正座するように座る動きがあると。

さあ、大変です。

しかも、公演が休みなく続いているので、医者が言うように

「痛みが治まるまで踊りを休む」

わけにはいかない。

この、

「休まないといけないのに休めない。さあ、どうしょう!」

というパターン、多いですね。

特に、
プロかそれに近い本気組の方とか、
発表会前で無理してでも何とか踊りきりたいとか。

そんなとき、

「休めば治る」

と言えば成立するなんてことは、
整体やトレーニングの現場ではまずありえないでしょうね。

プロや本気組のアマのダンサーは、もともとかなり踊りが生活の中に入り込んでいる可能性が高いわけですから、

「痛みが出てきた」

ということは、

痛みが出る前とは異なる何かをしたはずなんです。

それは、
単発的なこともあるし、
継続的なこともある。

いずれにしても、
痛みなく踊り続けられていたときと状況が変化したわけです。

多くの場合、
これは「バランスの崩れ」が関係しています。

何のバランスかというと、

破壊と回復です。

レッスンすれば筋肉やその他負担がかかる組織は細胞レベルで破壊されます。

そして、
レッスンが終わって普通に生活している時、
筋肉や体に負担がかかっていない時に、
回復が進みます。

破壊が始まったとき(レッスン開始時)より
回復で組織や機能が上回ることで、
ダンサーは少しずつ上達していくわけです。

いままでもそういうバランスを維持してきたからどんどん上手になってプロになったり、上級者になれたりしたわけです。

ところが、
今回は痛みが出てきた。

ということは、

いつもより沢山破壊したか
いつもより回復が少なかったか

のどちらかの状態になったわけです。

これを「バランスの崩れ」と表現しました。

このバランスをもとに戻すためには三つのアプローチが考えられます。

1. 破壊を減らす

レッスンの回数や時間を減らすとか、
本気で踊らないで少し流し気味にするとかのこと。

でも、
これだとバランスはもとに戻せるかもしれないけど、
本気で踊らない分、上達が遅くなりますね。

2. 回復の時間を確保する

「休む」ということ。
これが医者の言う

「痛みが治まるまで踊りを休む」

です。

でも、
これもバランスはもとに戻せるかも知れないけど、
休んで踊らないでいる分、上達が遅くなりますね。

本気組のダンサーとして、もっともっと上達したいと思っているいまこの瞬間に

「上達が遅くなる」

なんて、そんな選択肢は受け入れがたい。

ダンサーの多くはそう考えるのではないでしょうか?

そこで、どうするか?

ありがちな、そして、たいてい望ましくない結果に至る、
ある意味最悪の選択肢は

「痛みを無視して踊る」

そこまで強行しなくても

「だましだまし踊る」

痛みが出ない角度を探したり、
力の入れ方を工夫したりしてしのいでしまう。

デイビッド・ホールバーグがダンサー生命の危機に立たされたのもこれ。
と、本人が語っています。

でも、これはその場しのぎです。

臭いものに蓋して、なかったことにしているだけ。

それじゃなくなりませんね。

臭い匂いは元から絶たなきゃダメ、なんです。

ダメなことは分かっても、何をどうして良いか分からず、症状は待ったなし、レッスンも本番も待ったなし。

さあ困った(;´Д`)

ということで、
病院以外の治療師やトレーナーの門をたたく、というわけです。

そんな方がいらしたら、
当方はどうするかというと、

原理は先ほどのバランスの崩れなわけですから、
そこに立ち返ります。

そして、第三のアプローチを提示します。

それが、

3. 回復スピードを早める

です。
前のレッスンから回復が追いついていないのに次のレッスンを始める。

これでバランスが崩れるわけです。

なので、
レッスンの間隔を伸ばす(レッスンを間引く)のではなくて、

「次のレッスンまでに今まで以上に回復してしまえば良い」

と考えます。

そのための具体策。

その日から出来るものを4つの側面から提案させていただきました。

どれか一つでもいいし、
出来れば全部やったほうが良い。

それで、バランスが回復すれば痛みは消えるし、今後も再発しなくなる。
あるいは、再発しにくくなる方向に向かいます。

その方法については、また別の機会に。

本来なら、
劇団側、カンパニー側がダンサーのコンディションを良い状態に維持するための教育や環境を提供すべきだと思うんですが、残念ながらそうはなっていないようですね。

ダンサーがベストコンディションでいてくれたら劇団側としても良いパフォーマンスを観客に提供できるわけで、つまり商品価値が上がるわけです。

具材にこだわらないで適当に間に合わせておけば良い、というレストランに行きたいですかね?

劇団だとそれでも良くなってしまうのは、売り手としてちょっと問題ありなような気がするのですが、どうでしょうか…

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